知って得するコラム

わかっていない-9

( 2011年8月27日更新 )

相手にどうしてほしいか言葉で伝えようとすると、案外自分でも本当に相手にどうしてほしいかわかっていないことに気づくことがあります。何となく同じイメージを共有してわかっているはず、といった思い込みがあるのかもしれません。子どもが幼いころ私を悩ませていた夕食前の片づけも「今のうちに、さっさとちゃんとしなさい」では、具体的に何からどうしたらいいのかほとんどわからなかったのでしょうね。毎日のように怒り、その繰り返しの結果わが子に片づけを望むのは無理とあきらめたので、言い方を工夫することなど考えたこともありませんでした。
子どもは年齢によって理解の程度が違うので、言ったとおりに行動してもらおうと思うと、相手にできることを考えないといけません。たとえば、2歳の子どもに「テレビから離れて見なさい」と言っても、2歳の子にとって『離れて』は具体的にどうしたらいいのかわからないはずです。だから、線を引いて「ここから後ろに座って見なさい」と言うと理解できて、実行してくれることが期待できます。「挨拶しなさい」ではなくて「お母さんが言ったように、おはようって言おうね」とか、「待ってなさい」ではなく「○○しててね」とできることを言うとかいった工夫が必要です。
小学1年生の子どもにとって「学校から帰ったら宿題しなさい」は、いくつもの行動が含まれているのだそうです。ランドセルを勉強の場へ持っていく・ランドセルを開ける・宿題を取りだす・問題を解く・できたらランドセルへしまうなどです。小学校に慣れない入学早々に、『小学生に家庭学習の習慣をつけよう』と親が張り切って、いきなり『帰ったら宿題しなさい』と要求されるのは、子どもにとっては何をどこからどうしたらいいのか、大変しんどいことだそうです。子どもにもよるのでしょうが、慣れて一連の行動ができるようになるまで、一つ一つどうしていくのか、どこで何ができないのかを見ていくぐらい手間がかかると思った方がいいようです。
揺れ動く思春期の中学生ぐらいになると、急に話さなくなったり、朝起きてからで登校まで仏頂面といったこともでてきます。でも案外「おはよう、だけは言ってね」と伝えてみると、「おはよう」と言ってくれるかもしれません。「何その顔!」とか「もっとちゃんと気持ち良く言いなさい」などとさらに要求をかぶせずに、「はい、おはよう」と応じることが大事でしょう。

福井 聖子先生プロフィール

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