知って得するコラム

vol.10 子どもの見る世界-その5

( 2009年4月8日更新 )

 幼児から小学校1年生ぐらいまでの子どもと暮らしていると、

『子どもって、自分の見たいものしか見ていなくて、こちらが見てほしいものは全然見えてない』

と感じることがあります。これはつい、

『子どもは自分の興味のないことはあえて無視する』

と受け止められがちです。

しかし子どもは自分の見たいものがあると眼球のレンズをぐっと調節し見たいものに焦点をあてて見るので、

子どもの見え方として

『見たいものだけが、見える』ようです。

前回までに書いたように視野も狭く、限られたスポットを見ていることも影響があるようです。

 子どもは遊んでいるときによくおもちゃを散らかします。

たくさんの物が置きっぱなしになって、そのど真ん中に座って遊んでいる子を見ると、

『よくそんな散らかった所で平気で座っているなあ』

とあきれてしまいます。ごちゃごちゃに慣れてしまうと、大きくなっても片付けのできない

子に育つのではないかと、ふと心配したこともありました。長女が幼稚園の年中だったころのある日、

あまりに散らかった部屋にあきれた私は、

「このお部屋を見て、どう思うの!?」

と怒りの混じった声で問いかけました。すると、娘はやおら右の方に目を向けたのです。

そこにはブロックがありました。次に顔はその隣の絵本に向きました。

すぐ次には小さな子ども用テーブルに顔を向け、テーブルの上のクレヨンと紙を見つけました。

今度は少し伸びをして、テーブルの向こうのぬいぐるみを見ました。

次には左に体を向けて、その先にあった着せ替え人形といくつかの服に視線を移し、最後に

「なんて楽しい部屋なんでしょう」

と嬉しそうに言ったのです。その時私はおかしさと溜息が同時に入り混じり、つくづく

『ああ、見える世界が違うんだ』

と悟りました。大人が立った状態でその部屋を見ると、散らかった物が全部一視野の中に入ってきて、

まさしくごちゃごちゃに見えます。しかし、視野の狭い幼児の目にはほんの少しの物だけが視界に入るらしく、

例えて言えば遊園地のように、あっちこっちに遊ぶものがあるという風に感じられるようです。

大人の怒る理由はとても理解できなかったでしょう。いっしょに住んでいても大人と幼児では見える世界が違います。

こちらの言っていることがあまりにも伝わらない場合は、悪気ではなく、感じ方が違って理解できないこともあると

いうことを知っておくと、怒りは少し和らぐようです。

 

福井 聖子先生プロフィール

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