( 2009年1月5日更新 )
みなさま、明けましておめでとうございます!
旧年中は、思いがけずたくさんの方に読んで頂けて
とてもうれしかったです。
試行錯誤しながらやっていますが
今年もいろんな方に、お話を伺えたらと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます!
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年末、桐渕さんという方にお会いした。
彼女は三人のお子さんがいるお母さんだ。
もうみんな大きくて、
長女の絵理ちゃんは、今、アメリカにいる。
桐渕さん一家も、日本には住んでいない。
チェコのプラハで、民宿を経営していらっしゃるのだ。
なぜ、チェコ在住なのか、というと
これには、ワケがある。
1998年の長野オリンピック、
アイスホッケーの試合を観戦した三人のお子さんが
「プロのアイスホッケー選手になる」
と決意してしまったのである。
その決意のもと、なんと、一家は
日本から件の試合の優勝国・チェコ共和国に移住したのだった。
子供たちはめちゃめちゃ努力を重ね、
絵理ちゃんはアメリカの大学でホッケーチームに所属し、
長男の悠人君と望美ちゃんも、チェコの学校で活躍している。
その成長の様子はしばしば、
→ チェコでアイスホッケーのプロを目指す!
~子供たちの夢のためプラハに移住した家族~
母である桐渕さんは、長いこと日本に帰ってなかったが
この冬、久々に帰国した。
そこで、ネット知人の私に声をかけて下さって、
新宿でお茶することができたのだった。
桐渕さんは、パワー感のある明るいお母さんだった。
若いとき、力一杯遊び、
家族ができてからは、力一杯それに力を注ぎ、
とにかく、物惜しみとか手加減とかしない勇気がある人だ
という感じがした。
たとえば、なにか傷を受けても、
その傷に、簡単に納得したり打ちのめされたりしない
という、ナチュラルな反骨精神のようなものを感じた。
傷のせいにしないし、
傷に打ちのめされるわけでもないし
傷を無視したり打ち消したりしないし、
傷を乗り越えるとか克服するとか試練だと思うとか、
そういうイイコになることもない、
不思議な戦い方のできる人なのだろう、という気がした。
桐渕さんの今の関心事は、
やっぱり、お子さんのことだけだ。
今は、アメリカにいった絵理ちゃんのことを
力一杯、心配している。
外国で、スポーツという厳しい世界で、
有形無形のカベやハードル、逆風に揉まれながら
夢を追い、勉強し、恋もしてる絵理ちゃんのことを
いかにも普通に心配しているのがおかしかった。
ホッケーに憧れた子供のために、
言葉も通じない国にいきなり移住して商売を始めてしまうような人が、
その親のパワーをしっかり使って
難関のアメリカ大学リーグに乗り込んでしまうような娘に、
親に隠してデートしてた、許されへん
とか言ってるのが、なんだかものすごくおかしかった。
ある壮大さの中の、妙な些細さが
かわいらしくて自然なのだった。
桐渕さんは、なんと私に、
おみやげを用意して下さっていた。
それが
これ。
これはカレンダーで、
クリスマスまで一日1つずつ、開けていくんです。
チェコではすごくフツウのものです。
とのこと。
画像では既に相当空いてしまっているが、
中にはこんなチョコレートが入っている。
そうか。
12月になると、チェコの子供はこれを飾って
毎日1つずつ、紙の扉をあけて、
チョコレートを一粒、たべるのか。
そうやって一日一日、
クリスマスがくるのを楽しみにするのか。
日本でも、
「もういくつ寝ると、お正月」
という歌がある。
指折り数えて、その日を待つ
という楽しみが、かつて、あったのだ。
子供の時は、夏休みとか、旅行とか、
そういう「イベント」を
本当にそれが来るのだろうかという疑問さえ持ちながら
いまかいまかと待っていた。
永遠のように思える日々を、じりじりと待って過ごすうちに
ほんとうに、その日が来る。
その「その日が来る」ということは、
奇跡的な感じさえ、した。
大人になると、時間は飛ぶように過ぎていく。
でも、子供にとっては、そうではない。
すぐに欲しいものが手元に来ることを、子供は望む。
だけど、欲しいものを手に入れるにはたいてい、
待たなければならない。
植物を育てたり、湯船で数を数えたり、
子供は日々、待つことを覚えさせられる。
それは社会で生きていくために必要なルールだけれど、
一方で、高度な楽しみでもあるのだ。
待つことの楽しさは、
ちいさな子供には解らない。
だんだんに教えられ、経験させられて徐々に、
それが楽しいのだということがわかる。
ベトナムの農村では昔、
こんな習慣があったそうだ。
男女が婚約すると、男性は結婚の日までの日数分、
縄に結び目をつくってそれを垂らす。
そして、一日過ぎるごとに結び目をほどいていき、
結婚のその日をわくわくしながら待つのだ。
一日一日、わくわくしながら待っていく、
待った時間が積み上がる、その楽しさ。
すっかり忘れていた。
年末は例年、飛ぶように過ぎていく。
やることがバタバタと重なり、
息つく暇もなく、
やっぱり、このカレンダーのチョコレートを取り出すのも
忘れがちだった。
年が明けてもこうして、
少し残ってしまった。
でも今年は、こんなふうに
なにか目指す日を決めて、
その日に向かって一日一日、
わくわくしながら過ごして行けたらどんなに楽しいだろう
と、そんなことを思った。
「意味のある一日」と感じられるのは、
みっちり仕事をしたり、みっちり楽しんだりした日ももちろんそうだが
「何かに一日分近づいた一日」
というのも、あるのだ。
桐渕さんの三人のお子さんは、
みんな夢に向かって一日ずつ、わくわくしながら進んでいるのだろう。
ガッカリする日もあるだろうけれど
でも
子供はみんなそういうふうに
何かに向かっていっている生き物なんだな、と思った。
過去よりも未来の方がずっと多いのだから
そうなるしかないんだな、と思ったし
自分の中にもそういうものがまだ、
探せばあるのかも!
と
このカレンダーに教えてもらった気がした。
むっちゃ行きたい。プラハ。


